「しかしそれでは、
生活が立ちゆかないだろう」
自由であろうとするおじさんが未だ持っている制限を指摘した私に対し、
今度はおじさんが何でも緩く受け入れすぎる私に苦言を呈してきた。
「それでも私は知りたいの。
本当の世界のことを。」
おじさんの言うことは嫌ってほどわかる。
現在だって生命維持が危ういくらいの状況だ。
何度も何度も自分の中で浮き上がっては沈め続けていることばなのだ。
私は続けた。
「人間が作り出した社会という狭い世界なんかじゃなくて、
ほんとうの、
本来の三次元で生きる喜びを
私は知りたいんです。」
だってそれこそがきっとこの世に降り立つ前に魂が経験したいと望んだことに違いないのだ。
おじさんは私の目を見たままで、
もう私の道を正すことを諦めたのか
後には言葉を続けなかった。
だけど私はおじさんの瞳の奥の方で
キラリ
と星が二つほど瞬いたのを見た気がした。